2025.08.19
アミノ酸スコアとは?
食品のタンパク質の質を知り健康な食生活に活かす方法を解説!

「最近よく聞く『アミノ酸スコア』って、一体何のことなんだろう?」「タンパク質が体に良いのは分かるけど、その『質』については詳しく知らないな…」そんな風に感じて、このページにたどり着いた方もいらっしゃるかもしれません。私たちの健康や体づくりに欠かせないタンパク質ですが、実はその種類や含まれるアミノ酸のバランスによって、「質」が異なります。この「質」を分かりやすく数値で示したものが「アミノ酸スコア」です。
この記事では、「アミノ酸スコアとは何か?」という基本的な知識から、その評価方法、スコアが高い食品の具体例、そして日々の食事でどのように活かしていけば良いのか、具体的なポイントや注意点まで、専門的な知識がない方にも理解しやすいように丁寧に解説します。
アミノ酸スコアはタンパク質の「質」を測るものさし
「アミノ酸スコア」と聞くと、少し専門的で難しそうな印象を受けるかもしれません。しかし、これは私たちの体にとって非常に大切な「タンパク質の品質」を評価するための、とても便利な指標なのです。
私たちの体は、筋肉や内臓、皮膚、髪の毛、さらにはホルモンや酵素といった生命活動に不可欠なものまで、その多くがタンパク質から作られています。だからこそ、摂取するタンパク質の「量」だけでなく、「質」にも目を向けることが、健康維持や理想の体づくりには重要になります。アミノ酸スコアは、その「質」を知るための一つの大きな手がかりとなると言えるでしょう。
タンパク質とアミノ酸の基本関係
まず、タンパク質とアミノ酸の関係からお話しします。タンパク質という大きな分子は、実はたくさんの小さな「アミノ酸」という部品が鎖のように繋がってできています。食品としてタンパク質を摂取すると、体内で消化される過程でこれらのアミノ酸に分解され、吸収されます。そして、吸収されたアミノ酸が、私たちの体を作るための材料として再利用されるのです。
つまり、アミノ酸はタンパク質を構成する基本的な単位であり、私たちの体を作るための「建築ブロック」のようなものとイメージしていただくと分かりやすいです。
必須アミノ酸とは?9つの重要な栄養素
アミノ酸には様々な種類がありますが、特に重要なのが「必須アミノ酸」と呼ばれるものです。これらは、私たちの体内で作り出すことができない(または十分な量を作り出せない)ため、必ず食事から摂取する必要があるアミノ酸です。成人にとっては、以下の9種類が必須アミノ酸とされています。
▼ 9種類の必須アミノ酸
必須アミノ酸の種類 | 主な役割の例 |
---|---|
イソロイシン | 筋肉の強化、成長促進、 血管拡張、神経機能の補助 |
ロイシン | 筋肉のタンパク質合成促進、 肝機能向上 |
バリン | 筋肉の強化、成長促進、 窒素バランスの調整 |
リジン(リシン) | 組織修復、成長、 抗体・ホルモン・酵素の生成 |
メチオニン | 脂質代謝促進、 抗うつ作用 |
フェニルアラニン | 神経伝達物質の材料、 鎮痛作用 |
トレオニン(スレオニン) | 成長促進、 肝機能向上 |
トリプトファン | 精神安定、睡眠促進、 鎮痛作用 |
ヒスチジン | (成人にとっても必須)成長促進、 神経機能の補助 |
これらの必須アミノ酸は、どれか一つでも不足すると、他のアミノ酸が十分にあっても体内で効率よくタンパク質を合成することが難しくなってしまいます。
アミノ酸スコアが示す「タンパク質のバランス」
そこで登場するのが「アミノ酸スコア」です。アミノ酸スコアとは、ある食品のタンパク質に含まれる「必須アミノ酸のバランス」を評価するための指標です。具体的には、その食品に含まれる9種類の必須アミノ酸が、人間にとって理想的とされる量(これを「アミノ酸評点パターン」と言います)に対して、どれだけ満たされているかを数値で表します。スコアは100に近いほど、必須アミノ酸がバランス良く含まれている「質の高いタンパク質」であると評価されます。逆に、どれか一つでも必須アミノ酸が理想的な量に比べて極端に少ない場合、そのアミノ酸が「制限要因」となり、アミノ酸スコアは低くなります。
アミノ酸スコアの「桶の理論」と計算方法
アミノ酸スコアの重要性を理解する上で、よく用いられるのが「桶の理論」または「ドベネックの桶」という考え方です。これは、必須アミノ酸のバランスがいかにタンパク質の利用効率に影響するかを視覚的に分かりやすく示しています。
なぜアミノ酸のバランスが重要なのか?
木の桶を想像してみてください。この桶は、複数の木の板(この板一枚一枚が必須アミノ酸に相当します)を縦に並べて作られています。桶に水を溜めようとするとき、水の高さは最も短い板の高さまでしか達しません。他の板がどんなに長くても、一番短い板のところで水は溢れ出てしまいます。
これを私たちの体に置き換えると、桶の水が「体内で利用されるタンパク質」、そして桶の板の高さが「各必須アミノ酸の充足度」となります。つまり、たとえ他の必須アミノ酸が豊富にあっても、たった一つでも量が不足している必須アミノ酸(最も短い板)があると、体はその一番少ないアミノ酸のレベルに合わせてしかタンパク質を合成・利用できないのです。この最も不足している必須アミノ酸のことを「第一制限アミノ酸」と呼びます。
第一制限アミノ酸とは?
前述の「桶の理論」で説明した通り、「第一制限アミノ酸」とは、食品のタンパク質中に含まれる必須アミノ酸の中で、人間が必要とする量(アミノ酸評点パターン)に対して最も不足しているアミノ酸のことを指します。この第一制限アミノ酸の量が、その食品のアミノ酸スコアを決定する鍵となります。
アミノ酸スコアの計算式の概要
アミノ酸スコアの具体的な計算は、少々専門的になりますが、基本的な考え方は「第一制限アミノ酸が、基準となるアミノ酸評点パターンに対してどれくらいの割合か」ということです。計算式は一般的に以下のように示されます。
アミノ酸スコア = (食品タンパク質中の第一制限アミノ酸の量 (mg/gタンパク質) ÷ アミノ酸評点パターンにおける当該アミノ酸の量 (mg/gタンパク質)) × 100
この「アミノ酸評点パターン」は、FAO(国際連合食糧農業機関)、WHO(世界保健機関)、UNU(国際連合大学)といった国際機関が、科学的データに基づいて年代ごとに設定しています。この基準値と比較して、最も低い値を示した必須アミノ酸(第一制限アミノ酸)の充足率が、その食品のアミノ酸スコアとなるわけです。スコアの上限は100で、100を超える場合は100と評価されます。
アミノ酸スコアが高い代表的な食品一覧
では、具体的にどのような食品が高いアミノ酸スコアをもつのでしょうか。一般的に、動物性タンパク質はアミノ酸スコアが高く、植物性タンパク質の中でも大豆製品は非常に優秀です。ここでは代表的な食品をカテゴリ別に紹介します。(*1)

動物性タンパク質(肉類・魚介類・卵・乳製品)のスコア例
肉類、魚介類、卵、乳製品といった動物性食品に含まれるタンパク質は、多くがアミノ酸スコア100を誇ります。これらは必須アミノ酸をバランス良く含んでおり、良質なタンパク源と言えます。
植物性タンパク質(大豆製品など)のスコア例
植物性タンパク質の中では、特に大豆とその製品がアミノ酸スコア100と非常に優秀です。ベジタリアンやヴィーガンの方だけでなく、健康的な食生活を送りたい全ての人にとって、大豆製品は重要なタンパク源となります。続いてそのほかの豆類は80から90、アーモンドやゴマなどが70から80のスコアとなっています。
身近な穀物(お米・パンなど)のアミノ酸スコア
私たちが主食としてよく口にするお米やパンなどの穀物にもタンパク質は含まれていますが、アミノ酸スコアは動物性食品や大豆製品と比較すると低い傾向にあります。玄米はアミノ酸スコア100と高く、精白米が73から93、食パンが40から55となっています。
アミノ酸スコアが低い食品との上手な付き合い方
アミノ酸スコアが100に満たない食品は、「栄養価が低い」「食べてはいけない」というわけでは決してありません。スコアが低い食品も、他の栄養素が豊富であったり、他の食品と組み合わせることで全体の栄養バランスを向上させたりする重要な役割を持っています。ここでは、アミノ酸スコアが低いとされる食品とどのように向き合えば良いか、そのポイントを解説します。
スコアが低い=食べてはいけない、ではない理由
アミノ酸スコアは、あくまでタンパク質中の「必須アミノ酸のバランス」を示す指標です。スコアが低いからといって、その食品に他の栄養的価値がないわけではありません。例えば、穀類は重要なエネルギー源である炭水化物を豊富に含みますし、野菜や果物にはビタミンやミネラル、食物繊維がたっぷり含まれています。これらの栄養素も私たちの健康維持には不可欠です。アミノ酸スコアだけに囚われず、食品全体の栄養価を考えることが大切です。
組み合わせて栄養価アップ!賢い食べ合わせのコツ
アミノ酸スコアが低い食品の弱点は、特定の必須アミノ酸が不足している点です。この弱点は、他の食品と組み合わせることで見事にカバーできます。これを「タンパク質の補足効果」や「アミノ酸の相補効果」と呼びます。具体的には、ある食品で不足している必須アミノ酸を多く含む別の食品を一緒に食べることで、食事全体としてのアミノ酸バランスを改善する方法です。
例えば、お米やパンに不足しがちな必須アミノ酸は「リジン」です。このリジンを多く含む大豆製品(豆腐、納豆、味噌など)や動物性食品(肉、魚、卵、乳製品)を一緒に摂ることで、お互いの足りない部分を補い合い、質の高いタンパク質摂取に繋がります。日本の伝統的な食事「ご飯と味噌汁、焼き魚、納豆」といった組み合わせは、まさにこのアミノ酸の補足効果を巧みに利用した理想的な食事例と言えるでしょう。
食事にアミノ酸スコアを活かすためのポイントと注意点
アミノ酸スコアの知識は、健康的な食生活を送る上で非常に役立ちます。しかし、スコアだけに注目しすぎると、かえって栄養バランスを崩してしまう可能性も否定できません。ここでは、アミノ酸スコアを上手に食事に取り入れ、最大限に活かすための重要なポイントと、注意しておきたい点を解説します。(*2)
アミノ酸スコアだけに注目する落とし穴とは?
アミノ酸スコア100の食品は確かに「質の高いタンパク質」ですが、そればかりを食べていれば良いというわけではありません。まず、アミノ酸スコアは「バランス」の指標であり、「量」を示すものではありません。いくらスコアが100でも、食べる量が少なければ必要なタンパク質を十分に摂取できません。
また、特定の食品に偏ることは、他の重要な栄養素の摂取機会を失うことにも繋がります。例えば、アミノ酸スコアが高い肉類ばかりを大量に摂取すると、脂質の摂りすぎになる可能性もあります。野菜や果物、海藻類など、アミノ酸スコアでは測れないビタミン、ミネラル、食物繊維といった栄養素も、私たちの健康には不可欠です。総タンパク質量も意識する重要性
アミノ酸スコアでタンパク質の「質」を確認すると同時に、一日に必要なたんぱく質の「量」を確保することも非常に重要です。厚生労働省が公表している「日本人の食事摂取基準」では、年齢や性別、身体活動レベルに応じたタンパク質の推奨量や目標量が示されています。
自分のライフスタイルに合わせて、まずは必要なたんぱく質量を把握し、それを満たすことを目指しましょう。
調理法による栄養価への影響について
食品に含まれるアミノ酸は、調理法によって影響を受けることがあります。特に、長時間の加熱や極端な高温調理は、一部のアミノ酸を破壊したり、変性させて吸収しにくくしたりする可能性があります。
だからと言って、生で食べられるものばかりを選ぶ必要はありません。煮込み料理のように汁ごと摂取できる調理法や、蒸し料理、適度な加熱時間の焼き物などは、比較的栄養素の損失を抑えやすい調理法と言えます。調理方法によるメリット・デメリットも考慮しつつ、様々な料理法でバランス良く栄養を摂ることが大切です。
バランスの取れた食事が最も大切
ここまでアミノ酸スコアについて詳しく解説してきましたが、最も重要なのは、特定の数値や指標に一喜一憂するのではなく、「バランスの取れた食事」を心がけることです。主食(ご飯、パン、麺類)、主菜(肉、魚、卵、大豆製品など)、副菜(野菜、きのこ、海藻など)を揃え、多様な食品を組み合わせることで、自然と必須アミノ酸もバランス良く摂取できます。
まとめ
アミノ酸スコアは、食品に含まれるタンパク質の「質」を示し、必須アミノ酸がどれだけバランス良く含まれているかを知るための重要な指標です。このスコアを理解することで、日々の食事選びにおいて、より質の高いタンパク質源を選んだり、食品の組み合わせを工夫したりするのに役立ちます。アミノ酸スコアの知識を賢く活用し、バランスの取れた食事を心がけることで、より健康的な毎日を目指しましょう。
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▼引用元・参考
(*1)文部科学省「日本食品標準成分表2015年版 アミノ酸成分表編」264-293_新カラーチャートアミノ酸成分表.indd
(*2)厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」 00_5_名簿_cs6_0110追加.indd